Lesson1 1時限目 「バイオスフィア」とは?

正解 B ミニ地球空間を造れば可能
宇宙で暮らす方法は、1970年代からアメリカの大学で研究されてきました。宇宙線などの問題は残っていますが、可能であることが解っています。まず完全密封みっぷう巨大きょだいなガラスドームを造り、地球から大量の樹木や土を運びんで、森林を造ります。太陽光が射しむので森林はCO2を吸収し、酸素を供給します。日の当たる場所を選んで水田や畑を造り、農作物、家畜かちくを育てます。塩もいるので大きな海を造り、魚貝類(食料)を育てます。海水は蒸発して循環じゅんかんします。もちろん昆虫こんちゅうや鳥、生物も必要です。尿にょう排泄はいせつ物も土中の生物が分解し、きれいな水にもどしてくれます。地中にまった水を雨として降らせる仕組みや温度調節の装置を造れば何年でも人間は暮らせるのです。1991年(平成3年)には「バイオスフィア2」という壮大そうだいな実験も行なわれました。アメリカの砂漠さばく巨大きょだいな密閉ガラスドームを造り、その中に海、熱帯雨林、サバンナ、農地といった地球の生態系を再現して、8人の男女が2年間、自給自足で暮らすという実験です(動力はソーラー発電)。実際には数々の失敗がありましたが、2年後には8人とも健康体でもどったそうです。もしこの施設しせつ完璧かんぺきな「バイオスフィア」であったなら、そのまま火星に持っていっても8人は生存できることになります。

宇宙で生存するには地球の自然(生態系)が必要

海、森林、水、土、大気、動植物、生物などといった地球の自然は、45億年をかけて形成された完璧かんぺきなバイオスフィア。

地球は奇跡きせき惑星わくせい。真空の宇宙の中で水も酸素も食料も自給できる生命の星です。バイオは生命、スフィアは領域。つまり、バイオスフィアとは、人間や動植物が生きられる環境かんきょうのこと。地球のように生命が存続できる条件を持った空間、つまり食料や酸素などが自給できる空間のことです。
したがって、いくら最先端の科学技術を結集して造った宇宙基地でも、基地の中に地球の生態系を再現して酸素や食料を得るしか人間が生きる方法はないのです。
地球の自然がいかに偉大なものであるかが分かりますね。

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バイオスフィア2

「Bio:バイオ(ビオ)」は生命を意味するヨーロッパ系言語。日本でもバイオテクノロジー、バイオマス、ビオトープなどという言葉をよく目にするようになりました。「Sphere:スフィア」は球体、天体、範囲はんいや領域を意味する英語。映画、小説、アニメなどでもよく登場します。したがって、「バイオスフィア」とは生命の星、あるいは生命が生存できる領域というようなことを意味します。
この実験は「バイオスフィア2」と名づけられましたが、では「バイオスフィア1」とは何でしょう?……もちろん地球のことですね。私たちの住んでいる地球は、広大無辺な宇宙空間の中で、(現在のところ唯一ゆいいつ)たくさんの生命が存在する奇跡きせきの星です。
このプロジェクトはもうひとつの地球空間(バイオスフィア)、つまり人間が自給自足で生存できるミニ地球を造る実験でした。
中に入ったのは8人とも科学者(医者もふくむ)。8人は2年間を無事に過ごしたものの、科学的実験としては失敗に終わりました。それは途中とちゅうで酸素不足になり補給したからです。CO2の量も不足したり過剰かじょうになったりしました。また、植物は思ったほど成長せず、家畜かちくも酸素不足からか多くが死ぬなど後半にはひどい食料不足になりました。いかに地球の生態系を模倣もほうすることが困難であるかが分かりますね。
熱帯雨林の木はすぐにれましたが、これは施設しせつ内では無風状態であったため木が自ら幹を太くしたり根を張る努力をおこたったためであることも分かりました。このように科学的実験としては失敗に終わったものの、多くの学問的成果を得ることができました。
「バイオスフィア2」の施設しせつは現在でもアリゾナ大学が利用していますが、一般いっぱんの人でも見学が可能です。また、この実験に参加した科学者たちの体験談は『バイオスフィア実験生活』(ブルーバックス)で読むことができます。
なお、同種の実験は日本でも(財)環境かんきょう科学技術研究所でも行なわれています。
http://www.ies.or.jp/project_j/project02a.html

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